準備

今晩の高速バスに乗って、熊野へ。全然準備をしていない。
旅行をまずあまりしないし、最近は旅行にはカメラは持って行かないけれど、今回はカメラとフィルムを持って行こうと考えている。特に熊野を撮ってやろうとかそんな事を考えている訳じゃないし、二週間弱の滞在で何が出来る訳でもないだろうと思っている。けれども、海や山の近いそこで、いつも東京の住宅地で撮っている事を少し批判的に見たくなった。そのために写真を撮ってみるのも良いだろうと思った。
旅行に行く前はいつもちょっと不安だ。というよりも、外出する事自体が私は少し不安だ。ひょっとしたら引きこもりの気があるのかもしれないけれど、それでも外に出れば何かしらがある、という事だけは知っていて、それが例えありきたりの当然のものであるにせよ、期待はずれのものであるにせよ、何にせよ在るというだけで途方も無い事だと私はもう知っていて、それが私を支えている。
さて、行って来てなにがあるか。


そして唐突だけれど、最近小川未明の童話の事ばかり考えている。あの因果律から放たれた脈絡の美しさは一体どういうことだろう。金の輪は太郎の死と唐突に繋ぎ合わされて、しかしそれ以外の脈絡など決して考える事が出来ない。考えてみればどんな因果律もその因果律自体はなぜかそこにあるという点で金の輪と同じような唐突さでそこにあるのだろう。だから金の輪は美しく見えるのかもしれない。

小川未明童話集 (新潮文庫)

小川未明童話集 (新潮文庫)

何はともあれ、あけましておめでとうございます。今年が良い1年でありますように。