ディスプレイの黒

ディスプレイ上では、黒は光の無さでしかないという単純な事をウェブサイトを作ると思い知らされる。翻って、プリントの黒は光が無い事じゃなくて、光を吸収している黒で、単なる暗さではない、という事。ウェブに写真を載せた事で、自分の写真がいかにプリントを必要としているか、プリントであるかを確認出来て行くのは悪く無いことだと思う。
別に銀塩である事にこだわりはないし、もしかしたらデジタルでもよかった、と思っていた時期もある。だけれど続けて行くうちに、自分が銀塩のモノクロ写真が有している質感に影響されていて、どれだけそれを必要としているかという事が重みを増して来る。始めた時や選んだ時に根拠があったわけではなく、銀塩であることは非常に偶然的な事であったのだけれど、事後的にそうした選択が必然性を帯びてしまうのかもしれない。けれどそうして取り返しがつかない事、それがとても重要なことなのだろうと思う。