願望

単純な写真が撮りたい。被写体を写し出している、その有様を何処までも透き通って見る事のできるような写真が撮りたい。美しいだとか、そういう形容詞によって見られる写真ですら、時に鬱陶しく思える。世界があり、それが写し出されている、というこの不思議に、美しさなどというものは夾雑物でしかないと思う。なぜかこのように世界があり、なぜかこのように写し出されている。私は多分それだけでもう十分なのだと思う。美しいとか醜いとか上手いとか下手とか悲しいとか嬉しいとかそういう全ての判断は勝手な余計なものだ。このようである、という事に直接向かい合いたいし、このようである、という在り方と共にある写真を撮りたいと思う。