悪夢

最近夜になっても暑くて寝苦しいせいか、今日はとんでもなく怖い夢を見た。沢山の小さな子供たちが残虐に殺されてゆくのを、私は何もしないでただ見ている夢。夢には血や肉が今まで見たどんなスプラッタ映画や地獄絵図の類いよりも生々しくおぞましく飛び散っていて、私はそれが怖くて嫌で、あまりに嫌すぎて辛すぎて子供が可哀想とかそういうことは思わなくて、自分がともかくもこの場から逃げること、この光景を見なくて済む事をだけ願っていた。目が覚めて、自分が夢の中で殺されていた子供に対して非倫理的な無関心をしか持っていなかったことも後味が悪かったけれど、あんなにも残酷でおぞましい夢をみてしまうというその事自体に胸が悪くなった。
私は自分の事を、あんまり、どころかちっとも善良な人間だとは思っていないつもりだ。表には出さなくても、意地悪なことや、ひどい事や、自分勝手な事を沢山たくさん考えている。もちろん、それだからといってことさら自分を悪人だと評価するつもりはない、少なくともそのつもりは今までなかった。冷静に考えてそれは多分私だけの問題ではないのだから反省するにしても大げさになる必要はないと思っていた。だけれど、今日の夢はそういう自己認識、自分で自分をそれなりには客観的に見ているつもりの暗さを折り込み済みの自己認識を崩壊させるような気がする。私は自分が思っているよりもずっとずっと恐ろしい…。私は子供を生きたまま切り刻んでミンチにしてプール一杯にして、そこにまた別の子供を沈めて窒息死させるといった想像を、今日の夢くらいの克明さをもってしてしまうことが出来るのだ、と突きつけられている。お前はこんなに残酷だ。