寒々

今日も寒い1日。冬のコートをまた着たくなるけれど、おおげさかも、と思い結局寒い格好。傘の意味がなくなるような細かい雨が上から横から降り続いて、服を湿らせる。
埋まりつつある時間の合間を縫って、表参道のナディッフで松江泰治の写真を見てくる。都市と自然の鳥瞰。思っていたよりもずっと距離が近いものが多かったことや、都市の写真に時々写っている文字が、目を引く。とても巧妙に並べられ、突出することを抑えられた写真群のなかで、気になるもの、引っ掛かるものを探してしまうのは、どこかやはり自分の掴まる場所を欲しているのかもしれない。拡散したような光に、低いコントラストに、類似の手触りを与える視線に、均された写真の均された様子を精査することは途方もない。均されてあるものを見続けて、その均されてあることに集中することは、いつしかそれを知覚することのできない麻痺をよぶようで不安になる。目を引く特異点で、私はその途方もなさによる不安から逃げようとする。感覚を取り戻そうとする。
今日はまだ春の目まぐるしさに慣れず、疲れたのでこれでおしまい。もう寝ます。